2015-02-16 Mon
19世紀のイギリスにロバート・フォーチュンという方がいまして、
幕末の日本の滞在記の著者として歴史学の分野ではとても有名
なんです。
その方のもう一つの顔、というより本来の顔。
当時イギリスで一番知られたプラントハンターでした。
サラ・ローズ著 「紅茶スパイ」 原書房刊
彼は、東インド会社の依頼で、中国の最高級の紅茶の種や苗木を
ひそかに盗み出し、インドで紅茶の生産ができるように送り出しました。
さらに製茶の技術を持った中国人も密出国させます。
サスペンス映画さながらの実話をまとめたドキュメンタリーです。
これが東インド会社や大英帝国、そして英国人の生活にどれほど
大きな意味を持ったかが丁寧に書かれていました。
これがとても面白い。
植物の移植は大英帝国にとって最高の収益源でした。
外国で発見した植物をどのように利用して、換金作物に仕立て上げ、
どう栽培すれば植民地で最大の生産ができるか。
フォーチュンのような植物学者でありプラントハンターでもある人間が
必要とされた時代だったのですね。
彼によって中国のバラが英国に移植されるまで、英国には赤いバラは
なかったそうです。だからバラ戦争当時のランカスター家の紋章が
真紅のバラだったはずはないのだと、本書で指摘されていました。
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